from:まほ

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 髪をくるくるに巻くのはめちゃくちゃ難しい。左右対称なウェーブを作るのに、さっきから何十分頑張ってるだろう。試行錯誤の末、ようやく髪が仕上がる。  完璧なウェーブヘアに、わたしは少し気分を持ち直した。  少し大胆になったわたしは、十秒前のわたしが聞いたら驚くような告白を簡単に口にする。 「ねえ、整形手術がしたい」  お母さんが息をのんだ。 『……今、何て?』 「お金は自分で稼ぐから、許可だけ欲しいんだ」 『馬鹿なこと言わないでよ』  お母さんの声が低くなる。わたしは声を荒げた。 「どこがバカなの」 『授かったものを否定することは、長い目で見たら、とっても苦しいことだよ。あのね、今はぴんと来ないかもしれないけど。お母さんはあんたのことを思って言っている』 「でも! 世の中は綺麗な人ばかりで、綺麗な人が得をするんだよ」 『ねえ星野。月野にも言ったけど』 「はあ?」 『そのまんまでも、あんたは十分魅力的だよ』 「はあ……」  ありのままをダメと言う人がいれば、整形をダメと言う人もいる。ただ、存在を許されたいだけなのに。どうしてよ。わたしは、わたし達は、どうしたらいいんだ。 『しんどかったら明日も学校お休みすればいいから』  電話を切る前にお母さんが言うので、明日は登校しようと胸に誓った。明日は行きなさいと言われたなら、絶対に行かなかっただろう。
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