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「――月野っち、最近ど?」
「あー、月野は、うーん……」
手堅く選ばれたトピックに、わたしは言葉を詰まらせた。
この手の質問って、どんな回答が正解なのか、コミュ障なわたしにはいまいちわからない。
「まあ、相変わらずかな」
とりあえず、無難な回答をしておく。
「隣町の私立高校に推薦入学なんて、さすが月野っちだよねえ」
「まあ、あいつ、勉強だけはできるからね」
四季がスマホからちらりと視線をあげる。
「あの子のことだから、やっぱり高校でも人気者?」
「そうみたい。まあ、知らんけど」
わたしの気分は、わずかにざらっとする。
我が妹・月野は、周囲に合わせるのがとてもうまい。あやつの前世はカメレオンだったんじゃないかとすら思う。その上、巷の流行にも敏感で、トークの幅が広いので、誰にでも好かれる傾向にあるのだ。
けど、月野のその「軽さ」はわたしを五ミリくらい苛立たせるのだった。
たとえばだけど。
わたしが一年前から好きだった漫画を、アニメ化した途端月野も絶賛し始めた。前にわたしが勧めた時には無関心だったのに、今では「絶対アニメ化すると思ってた!」とか言うんだよ。そういうタイプ。月野。
「……おっ?」
そこでわたしはあることを思い付いた。
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