星野と月野

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「初期メン尽くしのパーティー編成、さてはまだ始めたばっかりだな」  よし、ここは、星野様がパーティーのレベル上げに協力してしんぜよう。なんたって、わたしは暇なのである。  腕を鳴らしてスマホに向かったところだった。  ひそひそ声が、がたんごとんの合間に、冷や水を掛けてきた。  ――あ、悪意。  わたしは瞬間的に察する。  棘を含んだ台詞って、どうしてこう、的確に耳に飛び込んでくるのだろ。いつもと違い、イヤホンをしていなかったことが悔やまれる。  ひそひそ声は、お母さんよりちょっと年上くらいの、おばさん二人のものだ。  こちらをちらちら見ながら、高い声を交わしている。 「最近の若い人って、ずっとケータイやってるねえ」 「本当ね、友達が隣にいるのに」 「こうして見てると、不気味じゃない?」 「なんだか、ケータイに取り憑かれてるみたいね……」 「……」  なんとなく興醒めしてしまったわたしは、アプリを中断して、スマートフォンをカバンに突っ込んだ。  とはいえ、車内を見渡せば、スマホを触っている人ばかりである。なぜわたしたち若者に限って批判されるのか、とムカつく気持ちと、揃いも揃ってスマホを見つめる姿は客観的にみると確かにちょっと不気味かも、という納得の気持ちが、マーブル模様に混ざり合った。
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