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高尾山とムササビカフェ食堂
今日は、高尾山日和だ。
山登りをすると空気が美味しくて心が安らぎ疲れていたはずの体も内側から癒されすーっとして元気になる。
「花宮さん、派遣先の会社が倒産しました」と派遣会社の藤本さんから昨夜突然の電話があった。
「へっ! 倒産ですか?」
わたしのスマホを持つ手が震えた。だって、一昨日まで当たり前のように出勤していたのに寝耳に水だ。
「はい、突然の倒産で大変申し訳ないのですが……新しい派遣先は紹介させて頂きますのでお待ちください」
一体どういうことなの。一瞬何を言われているのかわからなかった。
「それってまさか……明日からの仕事がないってことですか?」
「はい、大変申し訳ないのですが……」
藤本さんはあっさり返事をした。
「そ、そんな~あんまりですよ」
わたしはスマホをぎゅっと握りしめ耳に強く押し当てる。
「今回は残念ですが倒産なので……」
「はい、そうですね……」
藤本さんの言っていることは正しい。だって、倒産したのだからどうすることもできない。
電話を切ったあともショックでわたしはぼんやりとその場に立ち尽くした。
職場の居心地も良くてここでずっと働きたいと思っていたのに泣けてくる。働き始めて一年が経とうとしていたわたし花宮 真歌は突然失業した。
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