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初めてのデート
いつも熱く身体を重ね、チェックアウトギリギリまで愛し合った。
ヒロは、今まで抱いたどんな女よりも美しくて綺麗で、ずっと繋がっていたい、中に這入っていたいと俺は夢中になった。
「もう一回…… ああ…… ヒロ…… いいか? 」
俺の達した液で抜けそうなゴム、全く萎えてくれなくて一度ヒロから抜き、急いでゴムを外してまた挿入しようと、足を持ち上げ後穴にぴったりと押し付けた。
泣きそうなヒロの顔を真上から見つめる。
「生で、挿れてもいいか? 」
「ん、ム、ギ…… んんん、んっ! あぁ…… 欲しい、生のムギが欲しいっ…… 」
俺の頬を両手で包み込み、潤んだ瞳でそんなことを言うから、俺は最高潮に激しくヒロを抱いた。
抜く時のずるりという感触に、小さくビクッと身体を震わせたヒロ、その感触が分かるだけに俺の突く動きが速く激しくなる。
ああ、すごい…… もう、ヒロ以外では満たされない。
「ん、んん、ん…… っはぁ…… はっ…… 」
「ム、ムギ…… やぁぁ…… おく…… すごい…… んっ、んっ、んっ…… んんーーっ!ああぁぁああっ!」
ヒロが自分の腹や胸に液を吐き出し、それを見て、なおさらに興奮した俺もまもなく達した。
「はぁ…… はぁ…… ヒロ、ごめん…… なか…… に…… 」
中に射精してしまう。
まだ挿れたまま、ヒロの唇や首すじ、瞼、こめかみ、そして泣きぼくろにキスを落とした。
「温かい…… ムギのが俺の中に…… 嬉しい…… 」
ヒロのこめかみに涙がポロリと流れ落ちたのを見て、たまらずにそのままヒロを抱きしめる。
ああ、離したくないって、ヒロを絶対に離したくないって思って強く強く抱きしめた。
そして、朝とも昼ともつかない食事を二人でとるようにまでなる。
暗黙の了解の金曜日だけでなく、火曜日にもホテルに行くこともあった。
火曜日泊まった翌朝は、朝食を一緒にとることもなく、早くにホテルを出て行くから会社勤めなんだろうと思えた。
自由にしている俺のことはどう思ってんだろう…… なんとも思ってないか、なんて、ふっと溜め息ばかりを漏らす。
金曜泊まりの翌日は休みなんだろう、慌てている素振りもない。
ホテルから出て、近くのファミレスに入り軽く食事をとる。
ファミレスって、ヒロには不釣り合い気がしたけれど嬉しそうにメニューを見るヒロが愛おしい。
いつもなら、こんなふうに食事をとり終わったらそれで解散。
俺は野菜サラダを食べながら、ドリアを食べているヒロに思い切って言ってみる。
「朝からドリアって、すごいなヒロ」
「そうかな? 美味しいぞ、これ。ムギは野菜サラダで健康的だな」
ふふっと笑うヒロ。
「…… なぁ…… このあと、予定…… あるか? 」
ドクドクと心臓の鼓動が速く強くなる。
下を向いて野菜サラダのブロッコリーをフォークで転がす俺、真顔で見つめているヒロの視線が分かる。
すぐに答えないヒロに躊躇いを感じ取れて、いつもなら
「ちょっと訊いただけだ、俺、暇だからさ」
なんて言葉で誤魔化すけれど、今は、黙ってヒロの答えを待った。
ヒロとまだ一緒にいたい。
「…… 特に…… ない、が…… 」
ものすごく躊躇いながらの答えなのは分かった。
それでもすかさず、
「じゃあ、どっか出かけないか? 」
「………… 」
「いい天気だし」
大きな窓の方に顔を向け、顎でクイッとして見せた。
「………… と…… 東京、タワー…… に行ってみたい…… 」
「えっ!? 東京タワー? 」
行きたい場所で驚いたんじゃない、出かけることに同意してくれたことに驚いて、少し声が裏返ってしまう。
「…… 行ったことがないんだ」
「あ、そう言われてみたら、俺も行ったことがない」
ヒロは地方から来たのか?
でも、東京生まれで東京育ちの俺だって行ったことがない、どうだか分かんないよな、てか、そんなのどうでもいい、ヒロと出かける、デートだ、俺は嬉しくて目の前の料理を急いで口にする。
「そうと決まったら、急ごうぜ」
「…… そうだな」
ヒロもドリアを急いで食べ始めた。
いやいやじゃない、そう感じとれて心が弾んだ。
「スーツってなんか、目立ってしまうな」
東京タワーの展望台まで上がり、それでもはしゃいでいるヒロ。
俺もワクワクしているのは、東京タワーが初めてだからでは勿論ない、隣りにヒロがいることに胸がはしゃいだ。
ガラス一面からの景色は圧巻、ガラスの床を見つけると、
「早く!ムギッ!」
と俺の手を引いて走り出す。
「ムギ、絶対に手を離さないでくれよ」
なんて言いながら俺の手をギュッと握り、ガラスの床に恐々と足を着けるヒロが途轍もなく可愛い。
「ムギも乗ってみるといい!」
「いや、俺はいいよ」
正直言うと、高い所はあまり得意じゃない。
「怖いのか? 」
「そ、そんなんじゃねぇよ」
くすくすとヒロが笑う。
楽しい。
夢のような時間はあっという間に過ぎる。
すっかり暗くなり、こんなに長い時間ヒロと一緒にいたのは初めてだった。
「ここの公園を通って行った方が駅に近い」
俺が誘導して公園の中を二人で歩いた。
「ムギ、今日は本当に楽しかった」
その声にヒロの方へ視線を向けると、とんでもなく幸せそうに笑ってくれている。
たまらずに、俺はヒロにキスをした。
すぐに俺を受け入れ、舌が熱く絡まりあう。
ホテル以外でキスをしたのは初めてだった。
ヒロの腰と頭の後ろを押さえて、どうにもならないような気持ちのやり場を探すように、口の中を掻き回した。
ヒロだって俺の首に腕を絡ませ、いつまでだってキスをした。
「ヒロ…… 」
唇を離してヒロの名を呼んだ。
そして何度も何度もキスをした。
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