彩都とアヤメ

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苦党な俺が唯一食べられる甘い物!それがプリン!苦いカラメルだとなお良し!! ゆうが渡してきたぷるぷる揺れるプリンを口に頬張る。 ああ〜…!もう何も考えらんない…。 プリンを食べるのに集中していると、優にぃとゆうが話しかけてくる。 「あや、聞いて」 「ん、何ー?」 「これからも甘えてくれる?」 「んぇ?」 「彩都の全てを甘やかしたい」 「優にぃまで?」 「ああ。俺たちからの頼みだ」 「ん…、でも、自立しなきゃ…」 「あや!なんとここにプリンがもう一つ!」 「食べるぅ!」 「じゃあ約束してね。隅々まで甘やかされて?」 「分かった!!」 なんかとんでもないことをした気がしたが、今はプリンが最優先!! 新たに与えられたプリンをスプーンでつつきながら、ふにゃふにゃと満面の笑みを浮かべた。 __後ろで二人がガッツポーズをしていたのに気付かずに。 しばらくして。プリンを食べ終わり、一息ついた頃。 「ねえ、あや。約束覚えてる?」 「…約束?そんなのしたっけ?」 思い返しても記憶がない。昔の約束だろうか。頭を捻っても分からない。 そんな俺に、優にぃがスマホを差し出す。 ザザザ…、と録音独特のノイズが流れ出す。 『じゃあ約束してね。隅々まで甘やかされて?』 『分かった!!』 そこでブツッと音声が切れる。 間違いなく、ゆうと俺の声。 ちら、とゆうを見る。…あら、なんていい笑顔。 そしてなんて元気に返事したの、今さっきの俺ぇ!? 「まさか、今更なしとか…しないよね?」 「あ、えーと……」 「「彩都?/あや?」」 二人がにこにこしながら俺の名前を呼ぶ。 「う"っ…!!」 こんな時でも二人の顔が良すぎるから、流されてしまいそう…っ! 顔を逸らしたいのに、それを許さないように圧を出してくるから、もうどうしようもない。 「わ、分かった!分かったからっ!」 勢いに任せて叫ぶように言うと、二人は笑みを深めた。 (…え、まだ何かあるの?) 二人は俺の耳に顔を寄せる。 「ありがとう、あや」 「ん…っ、」 「これからが楽しみだな、彩都」 「ぁうっ…」 左耳からゆうの声が、右耳から優にぃの声が聞こえて、頭がくらくらする。 ゆうは甘いけど男らしい声色、優にぃは低くて色っぽい。 真逆なのにどちらもイケボで、その声が直に鼓膜を震わす。 「も、もう許してぇ…」 感じたことない感覚に、涙目になりかける。そんな俺に気づいた二人は、やっと俺の耳から離れ、甘い笑みを浮かべる。 「ふはっ、あやかわいー♪」 「やりすぎたか…?」
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