彩都とアヤメ

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裕翔side __俺の幼馴染は可愛い。 え、誰って?もちろんあやしかいない。 あの容姿であの性格はヤバいだろ。どう考えても。 特に声!何だあれ。イケボだったり、ショタボだったり、カワボだったり。おまけに女の子までできる。 あやの配信はリアルタイムでいつも見てるけど、やっぱり凄い。 …でも、本人にその自覚がないのが頂けない。 リスナーの皆は暗黙の了解として言わずとも知れているが、本人がとにかく無自覚なのだ。 大量のファンのこともどうせ、「優しい親切な人達なんだなぁ」程度にしか思ってないんだろう。 __「今、人気の配信者は?」と聞かれたら、まず最初に出てくるのが〈アヤメ〉と言っても過言ではないほど人気を誇る彼は、日本に留まらず、世界的に人気だ。 本人が英語だけじゃなく、ほぼ全ての国の言語を喋れることから、それぞれの国の言語に合わせた動画を、わざわざ吹き替えをして別のアカウントに上げている。 だから違う国の人でも、〈アヤメ〉の声で、翻訳でもなんでもない〈アヤメ〉自身の言葉を聞くことができる。 そんな類を見ないほどリスナー思いの〈アヤメ〉は、みるみる内に知名度が上がっていった。 あやが珍しく何かをやりたいと言ってきたので、俺も優さんも温かく見守っていた。 だがあっという間に人気になって、世界中があやにスポットライトが当たると、俺達は焦った。 あやが高校に行ってないことは知ってる。 だから俺も行かず、優さんが全寮制の高校に行っているのをいいことに、ほぼ毎日のようにあやの家に遊びに行っていたのが、あやが配信者になったことでガラリと変わった。 あやは忙しくなって、おまけに優さんはちゃっかりとマネージャーの位置に居座っている。俺がそれを知ったときの、優さんのあの嘲笑は忘れない。 俺はそれが悔しくて、どうにかしてあやと一緒にいたいがために、毎日家に突撃するようになった。 旅行も行ったし、なんならお泊まり会とか温泉も行った。 だけど、それも何だか虚しく感じた。 (どうして俺は家族じゃないんだ…。幼馴染と兄弟じゃ、何もかも違うというのに) そんな思いを抱えるようになった時、いつも通りあやの家へ押しかけた。
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