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彩都とアヤメ
※【】はコメントの声です。
彩都side
窓の外から同年代だろう少年少女達が仲睦まじく話す声が聞こえる。
そんな中、俺〈東雲彩都(シノノメ アヤト)〉は、部屋に一人でいた。
パソコンを覗けば、ライブ配信の時間まで後二分だった。
待機人数は秒単位で増えていき、一分前には100万人にまで増えていた。
コメントには既に【楽しみー!】【今回は何するんだろ?】【何でも面白いから良し!】などの声が届いていた。
(皆、お世辞が上手だなぁ…)
ボーッと眺めていると、もう後五秒前。
「あ、!え、えっと…。準備良し。あーあー…、声良し。……よしっ!」
パッと画面が明るくなる。画面には、格好いい男の子が映っていた。
「こんにちはー!皆ー、元気?」
手を振ると、画面の男の子も一緒に動く。
世間でいうバーチャルというものだろう。
【元気だよー!】
【はーい!】
【相変わらずお声がよろしい…!】
【開幕一番のこの声はヤバい…】
チャリン、チャリン
「あ、スパチャありがとー!」
【ないすぱー】
【な、なぜ…?声を聞いたらいつの間にかスパチャしてた…】
【安心しろ、それはここのリスナーの宿命だ】
「あはは、じゃあ今日は歌でも歌おうかな?」
【ヤバい、ティッシュの準備してない…!】
【ふっ、甘いな。俺は常備しているぜ】
【猛者やんww】
【え、ライブって知った時から鼻にティッシュ詰めてますが何か?】
【ガチ勢やばww】
ここのコメントさん達仲良いなー。
…まあ、見て分かる通り、俺は配信者をしている。名前は〈アヤメ〉。彩都の「あや」と、東雲の「め」を合わせた安直だが気に入っている名前だ。
【アヤメー、今日は何歌うの?】
俺はリスナーとは身近な関係が良いので、相手はタメ口、呼び捨てOKにしている。
「うーん、そうだなあ…。もう三月でしょ?…千◯桜とかどう?」
【ナイス選択】
【え、聞きたい聞きたい!】
「良かった。じゃあ歌うねー…。〜♪(略)〜♪
……はい、こんな感じかな。やっぱり一発目は調子悪いなぁ…」
チャリン、チャリン
【今のうちにスパチャを…!】
【スパチャスパチャー!うおおおお!】
【www さて、俺も負けてられないな】
【張り合うな張り合うなww 勝負じゃないから】
チャリン、チャリン
「あ、あれれ?」
混乱していると、まだ正気を保っている(?)リスナーさんが感想を伝えてくれた。
【めちゃ良かったです!】
【それな!アヤメー、次ヴァ◯パイア歌ってー!】
「マジでー?じゃあ次歌ったら雑談しよっか」
【りょー】
【把握です!】
【楽しみ!】
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