修学旅行は思い出バスに乗って

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「これは、俺たちの修学旅行じゃん。あのとき行けなかった修学旅行を、智樹が漫画の中で実現してくれたんじゃん」 「漫画で修学旅行なんてすごい発想だな。さすが智樹」 「しかもこの漫画、めちゃんこ上手だし」  バスのあちらこちらから、面白い、上手などの賞賛の声が聞こえてくる。 「やっと見られたぜ。これ見るのに四十年もかかっちまったな」 「でもさ玄ちゃん、二度と体験できないとあきらめていた修学旅行を智樹のおかげで漫画の中で楽しめたじゃん」 「そうそう政信の言う通りだよ。今の俺たちは、座禅体験もカレー食うこともできないんだから」 「そうだな。集合写真なんか撮ったら、完全に心霊写真だしな」  玄ちゃんの言葉に、僕以外のクラスメートの笑い声がバス中に響く。   「あの、みんな、本当にごめん。僕のせいで」 「いまさら四十年も前のこと謝るなよ」 「でも、僕のせいでみんなは」 「だから、もういいんだって」  四十年前の修学旅行の日、自作のしおりを取りに行くために僕は道路をよく確認もしないで渡ろうとしたところにトラックが走ってきた。トラックは僕をよけるために急ハンドル急ブレーキをかけた。間一髪僕をよけることができたトラックはコントロールを失い、玄ちゃんたちが乗っていたバスに衝突し、バスもろとも川に転落したのだ。  バスに乗っていたクラスメートで助かった人はいなかった。  玄ちゃん、光也、政信、みんな、ごめん、ごめんごめんごめん、僕のせいでごめん。  このことは僕の心の中に大きな錘となった。何度か自殺も考えたが、踏み切れる勇気はなかった。そんなある日、この街の不思議な伝説を聞いた。
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