おとのゆめ

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おとのゆめ

 テレビを見終わって、日付が変わっていなかったら、そこからは「私」の時間だ。  一人だけの部屋に駆け込んで、部屋が寒いなら暖房をいれて、どきどきしながらパソコンの電源を入れる。  キィ―ンと機動音が耳を揺らす、この瞬間が好き。  わくわくしてたまらなくなる。大好きな音に、マウスに手を添えて、画面が明るくなるのを待つ。  その世界は言葉でいっぱいだ。  クリック。タイピング。クリック。コピー&ペースト。タイピング、タイピング、マウスを自在に操って。  世界に飛び込む。  私と、君と。  みんなの、星と言葉と夢と、とっておきの最高の音で満ちた海。  それは私の大好きな世界。  夜は「私」の時間だ。  この時間が一番、心が浮かれて、指が踊って、胸が叫ぶんだ。  さあ、今日もまた、はじめよう。  午後十一時四十五分、まだまだ眠くない、まだいける。  ねえ、音夢。  今日もよろしくね。  今、どんなお話が生まれる? 『世界は夢でできている』  私の音で今、君の心の臓を貫く。  うて。  かがやけ。  もっと、もっと、まだまだ。  待ち焦がれた瞬間。  毎日この時が待ち遠しいから。  今この瞬間から、世界は扉を開く。
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