PTSD

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PTSD

「冬弥さ。迎えに来てくれるのは嬉しいよ? でもアンタ就活とかいいの?」 美耶子は困った顔で、俺にそんな事を言う。 お前を、夜遅くに一人でアパートに帰らせるより困る事なんて、俺には他に無いんだよ。 「……死んだ叔父さんが会社やってたから。そこに入るんだよ。 昼間はちゃんと学校行ってる。お前が心配する事はない」 「……そう」 「迷惑なら言えよ」 「迷惑掛けてんのはアタシの方じゃんよ。この場合」 迷惑じゃない。でもコイツが言いたいのは『彼氏でもないのに』という意味なのだ。 そりゃそうだ。 俺達の間柄は『友達』だろう。 どうやっても先になんか進みようがない。 手すら繋げないのに……。先なんかある訳ないのだ。
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