居候

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先に寝てたら、ベッドに先生が入ってくる気配がした。 面倒くせえ……。 「触ってもいいですか?」 「いちいち聞かなくていいよ」 どうしてか知らないが、この女は本当に俺が好きらしい。 一緒に眠る時は、必ずこうやって抱きついてくる。 「身体を勝手に触られるのは好きじゃない、って言ってたから」 「ああ。言ったかもな、そんなの」 問答が面倒くさいし、頼みがあるから、仕方なく彼女を引き寄せた。 「なあ」 「はい?」 返事をしつつキスされる。 これをされると嫌でも反応するから、男の身体ってのは厄介だ。 「明日、少し携帯貸してくんない?」 「……掛けるなら、今がいいと思いますよ」 「夜中だぞ?」 「東南アジアなら、大体の国で時差が二時間程度あります。夜の十時なら、もう仕事は済んでると思いますし、眠るにも少し早いから、逆に丁度いいと思いますよ」 生来が面倒くさがりの俺には、いちいち事情を説明しなくてもいい彼女が、丁度いいのかもな……。
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