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◆プロローグ
目を覚ますと、そこは見知らぬ一室のベッドの上だった。不思議に思いながらも隣に視線を移すと、
「ひっ!? 久我先生!?」
目に入ってきたのは大嫌いな久我先生……の、寝顔で、驚きのあまりにまるで変質者を目撃したような、そんな声を上げてしまった。
咄嗟に布団をめくり、私と久我先生の洋服がちゃんと着ているのかを確認する。どちらも裸ではなかったことから、恐らく何もなかったんだなと確認することができた。
女性陣を虜にしてしまうほどの、モデルのような顔面の良さに加えて、ダークブラウンの髪色がよく似合う外科医の久我先生がなぜ私の横で眠っているの。
私が奇声を発したことで久我先生の美しい寝顔は一変、目を見開いて私を捉えた。
ごくりと息を飲み声を発する。
「な、なんで久我先生がいるんですか? ここどこなんです?」
久我先生は鋭い眼差しを私に向ける。そして、「何も覚えていないのか」とでも言いたそうな表情を向けた。
「ここは俺ん家だ。おまえ、五十嵐と飲んでただろうが」
そうだ。私は五十嵐先生と仕事終わりに飲んでいたはず。意味が分からず、ますます脳が「?」を独占していた。
「は、はい。そうですね……? なんでそれを?」
「ふざけんな。べろべろに酔っぱらってるところを介抱してやってんだぞ……で? 俺がなんだって?」
「…………え?」
「言ってただろ? 五十嵐に、俺の愚痴」
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