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家臣が受け取ったのは、レグナスの北部にいる彼の伯父あての書簡だった。
そのとき扉がノックされ、別の部下が顔を出した。
「到着しました」
低い声で告げられた言葉に、ルーサ-は機敏に立ち上がった。
「よし。会おう」
彼が向かった先は、砦の外れにある小屋だった。
その小屋の中で待っていたのは、ガダスに潜入していたルーサ-の手の者だった。
その小屋周辺は、ルーサ-の側近たちが囲って人が近づかないようにしていた。
「報告があります」
「言え」
「ガダス王は、イサラスと内通して同盟を組むつもりです。マギルもそれに追従するという話がガダスに入ってきました」
「そうか…」
暗い小屋の中で、壁板の隙間から入る光がルーサ-の水色の瞳を照らした。
「では、こちらに戻ってきて早々で悪いが、ガダス王に書簡を頼む」
と、ルーサ-は懐から、小さく折って紐で固く結ばれている羊皮紙を出した。
それを間者に手渡すと、
「今後の明暗を分ける。頼んだぞ」
と言って、間者の肩に手を置いた。
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