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23 集合墓地
アイリーンは、エマの墓の前でぼんやりとして動けずにいた。
あのとき、自分はエマを助けることができたのではないかという思いがどうしても拭えなかった。
マーカスの屋敷の焼け跡から出て来た遺体を、レックスはアイリーンに見せることを拒んだが、アイリーンが強く望んで遺体と対面した。
その姿が、今も目に残っている。
思い返しただけで、視界が滲んでくる。
景色が消えて、エマだけが目の前に立っている。
その顔はいつも笑顔だった。
「エマ…。エマ…」
寂しい幼少期から、ずっとアイリーンのことを支えてくれた人だった。
アイリーンは、子供に戻ったように泣き出した。何度泣いても泣き足りない。
アイリーンの泣く姿に、ハナや御者のジョアンはどうすることも出来ずに周りでオロオロしていた。
オィングスの丘の麓は、集合墓地になっていた。
その端に、ジェーンと並んでエマも埋葬された。
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