23 集合墓地

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 アイリーンがエマの墓石の前で泣き崩れていると、背中が不意に暖かくなった。  振り返ると、レックスがマントをかけてくれていた。 「悲しみで、身体が凍えてしまうぞ。エマもそれは望むまい」  そう言って、優しくアイリーンの肩を撫でた。  レックスは、アイリーンが心配で様子を見に来たのだった。  彼は、アイリーンの横の草地に尻を付けると、 「ここは、妖精の住む丘だそうだ。その麓で眠る彼らは、妖精の国に行けるらしい」 と言った。  アイリーンが黙っていると、 「あの奥の二つの大きな墓石、分かるか?」 とレックスが指さした。  顔を上げたアイリーンが頷くと、 「マーカスの二人の弟だ。1年前の戦争で死んだ…。私が殺したようなもんだ」 と、レックスは言った。 「え?」  アイリーンが驚きの声を上げると、 「私が不甲斐ないばかりに、多くの戦死者を出した…」 と、吐き出すようにレックスは呟いた。
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