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「今もずっと悔やんでいるよ。あのときもっとやりようがあっただろう、とね…。日々、自分の愚かさを痛感している」
遠くを見つめるレックスの横顔を、アイリーンは初めて見るような思いで見つめた。
その視線に気が付いたレックスは、俯いて
「あなたの気持ちは、痛いほど分かるよ…」
と言った。さらに、
「エマに関しては、詫びのしようもない。あなたが無事だったことが、何よりの救いだ…」
と、付け加えた。
再びアイリーンの瞳は潤みはじめた。
それを見ないようにレックスは俯いて、
「…火事に関わった人間は、全て処罰する」
と言った。
「処罰とは?」
アイリーンが恐る恐る訊いた。
この件には、グラディスが関わっていると知っているからだ。
「死罪だ」
レックスが渇いた声で言った。
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