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しばらく沈黙が続いたあと、
「一つ良いニュースがある。ガダスから正式に同盟締結の連絡があった。あなたの身も、早急にガダスにお送りすることになる」
と、レックスは言葉とは裏腹に、悲しそうな顔で言った。
アイリーンも、その言葉に打ちのめされた。
イサラスとガダスの同盟が締結されたら、アイリーンはイサラスを去らねばならない。イサラスでは辛い目にあっているのに、アイリーンにはここを離れたくなかった。
目の前の、澄んだ榛色の瞳を持つ男性に会えないと思うと、胸が苦しかった。
彼と政治の話をするのは、思いのほか楽しかった。
「そうですか…」
アイリーンが寂しそうな声を出すと、
「エマには、いつでも会いにくればいい。あなたなら、いつでも大歓迎だ」
と、レックスがことさら明るい声で言うので、アイリーンは
(そうではないの)
と思いながら、小さく微笑んだ。
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