24 妖精の祠 

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 振り返ったときに、レックスの鼻腔をアイリーンの香りが刺激した。 「あなたと語らう時間は、わたしにとって癒しみたいなものだからね。今も、良い休憩をさせてもらっている」 と、レックスは冗談めかして言った。 「なんだか、はぐらかされた気分だわ」 とアイリーンは言ったが、自分のことを癒しだと言われて気分は悪くなかった。  天気の良い日に馬に揺られて野の道を行くのは、気持ち良かった。  少し傾斜がある道を上ると、台地のように開けた場所に出た。  その中央に、円柱形に組んだ石の祠があった。大人が3人で手を繋ぐと周りを囲むことができるほどの大きさだった。その円柱の側面が窪んで平らな石板が組み込まれていた。そこには、古語らしき文字と輪が彫られている。
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