24 妖精の祠 

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「これは、ガダス王家の墓の作り方によく似ています。ガダスのものはもっと小さいのですが…。そして、この文字…。古語ですね…」 「読めるのか?」 「風化が激しいので、一部だけですが…。どうもこれは妖精を祀っているのではなく、ある一人の女性の墓のようです。『アリン、ここに永眠す』と書かれていますね…」  アイリーンは、もっと読み取れないかと食い入るように石板を見ていたが、 「うーん、よく分からない」 と呟くと、立ち上がった。  入れ替わるようにレックスがしゃがみ、石板を見た。 「なるほど。そのような意味だったとは…。きっと偉大な人だったのだろう…。ここで一心に願えば、訊き遂げられると言われているのだから」 と呟くレックスを見ながら、アイリーンは言わなかったことを心の中で反芻していた。
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