24 妖精の祠 

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 ガダスでは、アイリーンのように予知夢を見たり占いができたりする人間を「王家の系譜」と呼ぶが、実は、正式には「アリンの系譜」と言うのだった。  そのアリンと石板のアリンは、関係があるのだろうかとアイリーンは考え込んでいた。  そのとき、レックスが振り返って、 「あなたの婚礼を阻止しようとしたとき、ここの祠に願ったんだ。『作戦が成功しますように』と」 と、はにかむように言った。 「思った以上の成果だったよ」  ぼそりと言ったレックスの言葉に、アイリーンは引っかかった。 「そもそも、なぜあのとき私たちの馬車があの道を通ると知っていたのですか?」 「それは…」  レックスがマギルからの情報で、あの日あのタイミングであの街道をあの人数で通ることを知らされた、と伝えた。 「なんてこと!では、ガダス城の内情がマギルに筒抜けだったということですか?」  アイリーンは愕然とした。
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