25 戦線布告

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「どうか、不安な心は人々にお見せになりませんように」  その言葉にレックスは、勢いよく振り返ると 「そんなに分かるか?」 と訊いた。 「分かりやすいですよ」とアイリーン。 「…」  レックスが黙り込んでしまうと、アイリーンは優しくレックスを見つめた。  その目と合ったレックスは、 「あなたには、隠し事などできそうもない」 と笑って言った。  アイリーンが困った顔をしていると、 「それは良い意味でだ。あなたを娶る男は、世界一の果報者だよ」 とレックスは付け加えた。 「それはまた…。過大評価というものです」 「そんなことはない。あなたの本当の姿が知れ渡ったなら、争奪戦がおこるだろう」 と言ったレックスは、今の戦いもまたそうだと思った。  レックスは、国を守るためにひたすら進んできたと思っていたが、彼の心を支配している不安は、戦いの結果、アイリーンを手放す未来が来ることだった。
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