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(レグナスにアイリーンを渡したくない。渡したくないから、踏ん張るのだ)
そう思って熱くアイリーンを見つめても、アイリーンは不思議そうにレックスを見返すだけだった。
* * *
レグナスの最前線には、ルーサ-がいた。
彼の側には、将軍のヘイデンが立っている。
ニコラスが派遣してきた彼の腹心だった。
(お目付け役か…)
ルーサ-は澄ました顔で、ヘイデンと偵察部隊の報告を聞いていたが内心は穏やかではなかった。ヘイデンがそばにいることはルーサ-の好きに采配できないということだった。
ルーサ-は、アイリーンがイサラスにいるという証拠を掴めなかったとニコラスに報告したが、そのルーサ-が、すぐにレグナス城に戻らなかったことが、ニコラスの癇に障ったようだった。
「イサラス側に準備が整わないうちに、仕掛けるのが良いかと」
ルーサ-の横でヘイデンが言った。
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