25 戦線布告

7/7
前へ
/148ページ
次へ
 アイリーンの婚礼がマギルに筒抜けだったと分かったときに出したアイリーンの仮定が現実味を帯びてきた。  アイリーンは、こう言ったのだ。 「父は、本気でレグナスと同盟など組むつもりはなかった。ただ秘密裡に、レグナス王を孤立させたかったのかもしれません」  レックスがレグナス軍に備えて前線で待機していたころ、アイリーンは窓から見えるオィングスの丘を見つめていた。  イサラスに来て、たびたび夢に出てくる丘。  先日見た祠。そこに記された「アリン、ここに永眠す」という言葉。  いくつかの事実といくつかの推測が、脳内をめぐる。 (私がここにいるわけ…)  それが偶然ではないということだけ、アイリーンにも分かったが、それがどういう意味を持つのか、まだ理解できなかった。      
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加