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テレンス一行がイサラス城に到着すると、レックスは広間で型どおりの挨拶を交わし、同盟の文書に署名をし終わると、晩餐の席でもてなした。
「新鮮な森の恵みを使った食事は、格別ですな」
というテレンスの言葉に、レックスは及第点をもらった気分だった。
宴席の参加者に酒が回って、会場が騒がしくなってきたころ、テレンスは隣のレックスに言った。
「どうですか?アイリーンは役に立ちましたかな?」
レックスはその言葉を聞いて、
「まるで、彼女をここに預けたようなお言葉ですね?」
と返した。
彼は、今日、テレンスにその本心を聞く気だったのだ。
アイリーンの輿入れの隊列の情報を外部に漏らしたり、本当はルーサーと通じていたのにレックスがレグナスに挑もうとするのを止めなかったり…。アイリーンからは、レグナスとの同盟に最初はテレンスのほうが積極的だったと聞いた。その相反する行動の訳を知りたかった。
そう思っていた矢先の、テレンスからの問いかけだった。
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