26 晩餐

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「ふむ。だとしたら、どうするのかね?」とテレンス。 「そうではないという答えが欲しかったので、今は、少々動揺しております」  レックスは、視線をテレンスに戻して、テレンスの眼差しを受け止めて答えた。 「正直者だなぁ、君は」  テレンスも杯をあおった。 「私はいいんですよ。ただ王女を、アイリーンを試すようなことはお止めください。彼女は、あれほどまでに賢いのに、どこまでも控えめです。そして、どこまでも自分の責務を果たそうとする。試さなくても、彼女の素晴らしさは一目瞭然です」 と言うと、テレンスを見つめた。 「うちの娘は素晴らしいだろう?」 とテレンスは言うと、にやりと笑って「明日、連れて帰るつもりだ」と付け加えた。  その言葉を聞いてレックスは何かを言おうとして、ためらっている。 「アイリーンが噂と違うという話も、ちらほら広まりつつあるからね。ガダスに帰るといろいろ縁談も持ち込まれるだろう」 とテレンスは、レックスから目を逸らして会場を見た。    その視線の先には、アイリーンが甲斐甲斐しく働いている。その明るい表情を見て、テレンスが内心どれほど喜んでいるが、目の前のレックスさえも気づくことはなかった。
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