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「あなたの方こそ、この城に来て、大変な思いをするばかりで。あなたは大切な人まで失ってしまった。あなたの辛い思いは全て私に責任がある…。申し訳なかった」
高い植え込みの間で、レックスはアイリーンに謝罪した。
アイリーンは、エマのことを思えば辛く感じるが、それをレックスのせいだと思ったことはなかった。しかし、城主のレックスの謝罪を遮るようなことは言えなかった。
黙って立っているアイリーンの顔を見つめて、レックスは再度
「申し訳なかった」
と言った。
「…。分かりました。謝罪は受け入れます。ですので、違う話をしませんか?」
アイリーンは、目の前の率直な男性ともう会えなくなることのほうが寂しいと思っていた。
そして、彼は国王として、城主として、いつか自分でない女性を娶るのだと思うと、胸が苦しくなるのだ。
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