27 夜風

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 差し出された花をアイリーンは、ゆっくり受け取った。  その胸に期待が膨らんでくる。 (彼は何を言おうとしているの?)  ガダスに帰りたくないアイリーンは、レックスの次の言葉を待った。  アイリーンは、拉致されて連れてこられたあの部屋が心地よいとまで思っている。 「アイリーン。あなたの前では、どんな花も霞んでしまうな…」  レックスは優しい目でアイリーンを見た。  そして、意を決したように 「明日はとうとう国に帰るんだな…。荷造りをしなくては。部屋まで送ろう」 と言って、踵を返したのだった。 「待って!」  アイリーンが呼び止めると、レックスは振り返った。  その顔は、切なさで溢れていた。 「私にとっても、あなたとの出会いは、特別でした」  アイリーンがなんとか振り絞って出した言葉に、レックスは引き戻された。
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