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差し出された花をアイリーンは、ゆっくり受け取った。
その胸に期待が膨らんでくる。
(彼は何を言おうとしているの?)
ガダスに帰りたくないアイリーンは、レックスの次の言葉を待った。
アイリーンは、拉致されて連れてこられたあの部屋が心地よいとまで思っている。
「アイリーン。あなたの前では、どんな花も霞んでしまうな…」
レックスは優しい目でアイリーンを見た。
そして、意を決したように
「明日はとうとう国に帰るんだな…。荷造りをしなくては。部屋まで送ろう」
と言って、踵を返したのだった。
「待って!」
アイリーンが呼び止めると、レックスは振り返った。
その顔は、切なさで溢れていた。
「私にとっても、あなたとの出会いは、特別でした」
アイリーンがなんとか振り絞って出した言葉に、レックスは引き戻された。
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