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レックスは、テレンスと目が合うと、
「ガダスの至宝を頂きにきた」
と言って、アイリーンの手を握った。
焼けるように熱いと思った。
その手はアイリーンの寂しい心を包み込むように、分厚かった。
同じようにたぎる熱のこもった瞳で、レックスはアイリーンを見つめて言った。
「来るか?」
その言葉に、アイリーンは思いきり頷いた。
レックスは、アイリーンから確かな意志を感じると、思い切りその手を引いてアイリーンを抱きとめた。
アイリーンは、座席に座るテレンスを振り向いた。
すると、彼は
「行っておいで」
と、優しい声で言った。
それを聞いて、レックスとアイリーンは顔を見合わせた。
「許していただけるのか?」とレックス。
「アイリーン。お前はどこででも生きていける。強くて優しい自慢の娘だ。思うままに生きろ」とテレンス。
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