28 強奪

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 レックスは、テレンスと目が合うと、 「ガダスの至宝を頂きにきた」 と言って、アイリーンの手を握った。    焼けるように熱いと思った。  その手はアイリーンの寂しい心を包み込むように、分厚かった。  同じようにたぎる熱のこもった瞳で、レックスはアイリーンを見つめて言った。 「来るか?」  その言葉に、アイリーンは思いきり頷いた。  レックスは、アイリーンから確かな意志を感じると、思い切りその手を引いてアイリーンを抱きとめた。  アイリーンは、座席に座るテレンスを振り向いた。  すると、彼は 「行っておいで」 と、優しい声で言った。  それを聞いて、レックスとアイリーンは顔を見合わせた。 「許していただけるのか?」とレックス。 「アイリーン。お前はどこででも生きていける。強くて優しい自慢の娘だ。思うままに生きろ」とテレンス。
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