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そして改めてアイリーンを見て、急に戸惑うような、恥じらうような顔を見せた。
「ふっ」
アイリーンは、激しく馬車に乗り込んできたときのレックスとの落差が可笑しくて、つい笑ってしまった。
そのアイリーンの笑顔を見て、レックスも笑った。
「どうして?どうして、お城で引き留めてくれなかったの?」とアイリーン。
「あの城で、あなたに辛い思いをさせたので。どうしても『残ってくれ』と言えなかった」とレックス。
「私は残りたかったのに!」
アイリーンがそう言うと、レックスは馬を停めてアイリーンを見つめた。
「本当に?」
「あなたこそ、本気?こんな悪評しかない女を攫うなんて」
「あなた以外に望むものはない。あなたが他の男のものになると思うと、耐えられなかった。一人で軍隊に乗り込むなんて、愚かな男だろう?」
「本当に…。本当に愚かだわ…」
「あなたが必要なんだ。あなたでなければ駄目なんだ」
レックスがそう言うと、お互い吸い込まれるように見つめ合って、唇を重ねた。
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