29 エピローグ

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29 エピローグ

 レックスがアイリーンを連れ去ったとき、将軍の一人が勢い込んで馬車を覗き、 「追いますか?!」 と叫んだ。 「放っておけ」 と言うと、テレンスは、馬車の座席にもたれかかった。  テレンスの意図が分からない将軍は、レックスとアイリーンが去っていた方向とテレンスの顔を交互に見ている。  彼の困った様子にテレンスは、 「いいんだ。あれでいい。追わなくっていいんだ。彼がイサラスの王であるのは知っているだろう」 と付け加えた。そして、 「我々は、このままガダスに向かう」 と言った。  将軍は、「かしこまりました」と言うと、すぐに馬車から頭を引っ込めた。  馬車の扉が外から閉じられ、一行が動き出したとき、テレンスの肩が揺れた。  はじめは小さく揺れていたものが次第に大きく揺れ、テレンスはこらえきれないといった様子で、笑い声を上げた。 「あははは。アイリーンのあの顔といったら」
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