calling calling

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 天辺を過ぎ帰宅した私は城咲のことが気になり、本棚の隅にて埃を被っていた高校の卒業アルバムを手に取った。この卒業アルバムであるが、個人情報保護法の施行直前に出されたもので、巻末には卒業生全員の住所と電話番号が記載されたものである。 城咲であるが、確かに私と同じクラスであった。ただ、私と付き合いはなく、話をしたことはない。なんとか思い出したことは「休み時間には誰とも話さずに机に突っ伏してたヤツ」が、その城咲であったことだ。 極めて失礼なことを重ねて言うなら「友達のいない陰キャのぼっち」であったと言う印象しか持つことが出来なかった。  そんな人間(やつ)が、どうして私に電話をしてきたのだろうか? そもそも、このスマホの電話番号を城咲に教えた覚えはない。私のスマホであるが、高校一年生の時に親から買ってもらった携帯電話の番号そのまま、機種変更を重ねて同じ番号を使い続けること十二年。 この番号を知っている高校時代の友人が城咲に教えたとでも言うのだろうか?  誰が教えたのかが気になった私はSNSのトーク機能で未だに付き合いのある高校時代の友人皆に尋ねたのだが「知らない」と、梨の礫。 また電話すると言っていたことだし、その時に聞けばいいか。 そんな事を考えながら私は床に就いた。  翌日、昼休憩の最中に城咲から電話がかかってきた。今度は会社の食堂であったため、周りを気にせずに話が出来る。 「もしもし」 〈もしもし? 潮田くん、城咲だけど。昨日はごめんね?〉 「ああ、別にいいけど。用事って何だったの?」 〈実は、同窓会の幹事やっててさ。皆に電話してるんだ〉 私は納得するように頷いた。同窓会の幹事をしていれば、こうして電話をかけるのも普通にあることだと納得するのであった。知らぬ仲から、知った仲になったことで、私は城咲に心を開いてしまった。 「ホント、十年って短いよね! たった十年だとみんなあんまり変わってなさそう! 俺なんか超がつくほどのブラック企業に入ってさ、毎日が天辺近くの残業生活! 実年齢プラス十ぐらいは老けてると思う!」 〈た、大変だね〉 「ところで、城咲くんは今何してるの?」 〈占い師〉 私は職業に偏見を持っている訳ではないが、変わった進路を選んだものだと思ってしまった。 「どういう占い?」 〈手相を見るし、誕生日聞いて占星術もするし、筮竹も使うし、タロットカードも使うし、色々かな?〉 よく言えば古今東西の占いが出来るスペシャリスト、悪く言えば一貫性のない取っ散らかしだ。
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