復讐の始まり

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翌朝、私は日の出と共に起きた。 と、言ってもここは船の中。 消灯時間があるだけなんだけどね。 消灯時間が明けたのを日の出と言っただけ。 私は家から外に出る。 軽くジョギングをするためだ。 船旅で体をなまらす訳には行かないもんね。 本当は射撃訓練もしたいんだけど、流石にできる場所がない。 なので体力トレーニングをするしかないんだよね。 朝方の住宅街を走っていると……。 ビム……ビム…… レーザー銃の撃ち合う音が聞こえてきた。 「何?」 私は音の方に耳をすませる。 レーザーの音はすぐに止んだ。 その後数人の走る足音が聞こえた。 「こっちよね。」 私は音のする方にかけていく。 角を曲がると、そこには倒れている人がいた。 「大丈夫ですか?」 駆け寄って見ると、初老の男性が息絶え絶えだった。 今から救急車呼んでも……。 既にその男性から生気は失われている。 もう間に合わない。 戦争で幾度となく見てきた人の断末魔。 もうこの人は助からない。 それなら……。 「何か言い残すことはありますか?」 せめて遺言を聞いてあげることぐらいしかできない。 「こ、これを孫に……。」 男性が手に握っていたペンダントを渡してきた。 「お孫さんの名前は?」 「リ……リベン・ジ・シッテ……。」 男性の息は途絶えた。 私は男性の手からペンダントを受け取ると「必ずお孫さんに渡します。安らかに眠ってくださいね。」そう言い残し、警察へと連絡を入れた。
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