迫り来る黒い影

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「GですわGが出ましたのですの!!」 「峰さん、落ち着いて!!」 そして黙って!! 峰さんが指さす方に視線を移すと、確か黒い固まりがあった。 私がスリッパを手に近づくと……。 「これ、紙じゃない?」 昆虫ではなく黒い紙切れ。 それが落ちてただけだった。 「そ、そんな紛らわしいもの置くのでわないですの!!」 いや、ただ勘違いしただけじゃん!! 峰さんが。 それで騒がれたら……。 玄関先が騒がしくなってきた。 ま、不味い。 「とにかく峰さんは隠し通路に行って!! リベンさん引き連れて行くから!!」 私は峰さんにそう言うと、直ぐに2階へと駆け上がった。 リベンさんの部屋に来ると騒動に気がついてたのか、リベンさんが。 「ここはヤバい。 逃げるぞ!!」 そう言って台所に駆け出した。 もう……こうなるから峰さん連れてきたくなかったんだよ!! 本音はホンネ。 しかし騒ぎが起きてしまったのは仕方ない。 今はこの窮地を乗り切ることを考えるのみ!! 台所に着くと、通路の前で峰さんが待っていた。 「逃げるよ、峰さん。」 そう言って峰さんを通路に押し込んだ。 私の後にリベンさんが入ってきて、扉を閉じる。 「ふう、とりあえず一安心。」 まだ安心はできないけどね。 隠し通路がバレないことを祈りながら、先を急いだ。 隠し通路のもうひとつの入口。 空き家の蔵からでる時に周りに人目がないか探ってみる。 「人目は無いようね。 早くここから離れましょう!」 そう言うと素早く蔵から出て扉を占める。 何食わぬ顔をして空き家から出ていく。 よし、ここまでは完璧。 誰にも見つかってないよね。 「一旦宿に戻ろう。」 「あ、それなんだが新しい宿に行こう。 荷物も届けてもらっている。」 「え? いつの間に???」 そういえば今日から新しい宿に移るって言ってたもんね。 でも荷物の手配いつの間にしてたのよ??? 今度はどんな旅館かな? ちょっとワクワクしながらリベンさんの後を付いて行った。
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