道のり

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 たもつは中学生になって、学校の授業が簡単なのでいやになったんや。  何でこんな簡単な計算なんか勉強しなければならないんやろ?  たもつは学校の勉強に飽きた、というか簡単すぎるんや。  もっと高度な勉強はしたいと思うが、そこまでの自信はなかったんや。  彼は中学校の授業に出席しなかったので、少し焦って一か月ぶりに授業に出席してみたんや。そしたら、あまりにも内容はむずかしいので驚いたんや。 「久しぶり」彼に同級生たちは声をかけてくれたんや。そこで救われた気持ちになったんや。 「たもつ、どうして学校来なかったん?」  同じクラスの仁は聞いてきたんやで。 「簡単すぎるけん」 「勉強が?」 「そうだ」 「この問題解ける?」数学の基本的な計算式を見せられたんやが、解く自信はなかったんや。 「できへん」 「これはできるやろ?」 「簡単すぎるわ」  そこにクラス担任の足山は来たんやで。 「一か月どうしたんや?」足山に聞かれたんや。 「一寸ね」たもつは答えたんや。 「まさか悪と付き合っているのやないやろな」 「違います」  たもつは不良と付き合っていなかったんや。 「明日も学校に来なさい」足山はそう言わはるとたもつから離れて行ったんや。 「先生は心配していたんや!」  となりの席の女子はたもつに声をかけてくれたんや。 「ほんまに?」たもつはその言葉を聞いて、気がつくと頬を涙が伝ってたんやで。 「みんな不良になったんやないか? って心配していたんやで」仁は真顔でたもつに言ったんや。
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