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「部屋の電気消そうか。私はドアの外に……。アスカ、眠れそう?」
「ずっと作曲したり、ライブの準備に忙しくて、睡眠不足なんや。
大丈夫、すぐ眠れる」
アスカは笑顔で頷き、息を深く吸って目を閉じた。
にゃんたが『すまっち』を操作する音が静かな部屋に響いた。
私は目を閉じたアスカの美しい顔をもう一度見ると、電気を消して部屋を出る。
そしてドアに背をつけて廊下に座り込んだ。
ピピッ、ピピッ、ピピー――
暫くの静けさの後、鳴り始めた電子音がだんだん小さくなって行き、やがて聞こえなくなった。
もう何の音も聞こえない。
ドアを開けると真っ暗な部屋の中、アスカとにゃんたの姿は消え、ただ静寂が漂っている。
窓の外から臨海公園のイルミネーションの灯りが忍び込み、開いた本のページを照らしていた。
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