2 再会

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 「当たり前だろ」と首肯すると、諦めた様にまた紙に何かを書き出した。それはこの街から少し離れた土地の地図だった。僕の記憶違いじゃなければその場所は革命の際に更地になった場所に酷似していた。 「明日、夕方の五時にここに来て」 「……罠にも程があるな」 「疑うのは勝手だけど絶対に来てよ。どうせ明日は国境警備の移動日だし、何とかなるでしょ」 「……物知りなんだな。一応国の機密情報だぞ」  「情報を制する者は世界を制するのだよ……」と勝ち誇った顔で笑うサナギは、拳銃を収めて立ち上がる。恨み言や怨嗟の声でもサナギに浴びせれば気も少しは晴れたのに、結局何も説教じみた話は出来なかった。資格すら持っていなかったのかもしれない。この五年で何があったのかを知らない僕が、彼女の本音を引き出せる訳も無かった。 「一人で来てよ、この不良軍人!」  舌をべーと出して逃げるように去るサナギを止める事も出来ず、ただその様を見ていた。白鳥はいつの間にか飛び去っていて、雨がまた降り出した。僕は傘もささず、身を任せていた。
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