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3 答え合わせ
警報が鳴り響き、謎の機体が数機、上空を通って行った。瞬間、爆発が起こる。遠くに微かな光が見える。
「……そんな」
街が焼き尽くされている。映像で見たあの時以上の兵器だ。今度は国土の三分の一なんて被害じゃ済まないだろう。崩壊する。守り続けてきた街が、ミリム国が消滅していく。
「止めろ!!」
「無理だよ。もう、声も届かないし」
僕は怒りに身を任せて、拳銃を取り出す。
安全装置は外した。トリガーに指をかける。
後は僕の意志と勇気で、彼女を死体に出来る。
「私達は壊さないといけなかったの」
「国をか!? 人を殺して、満足なのかよ!」
「国じゃない。私達が壊したのは、工場だよ」
意味が、分からなかった。工場?
国を躊躇いなく破壊出来る革命者の目にはそんな物に見えるのだろうか。人と人が作り上げた尊い文明と歴史をそんな風に言ってしまえるのだろうか。そんなの、あんまりじゃないか。
「あの国に、人間は殆ど居ないんだよ」
「……それは差別の話か?」
「違う。本当の本当に、人間が居ないんだよ」
投げ渡された写真。風に吹かれそうになるのを押さえて、拾いあげる。
「……は?」
「その中の機械に、見覚えあるんじゃないかな」
写真に映っていたのは、人が作られていく過程だった。その中には見覚えのある姿もあった。信じられる訳ない。こんな物を信じれば、今までの人生が、まるで喜劇じゃないか。
「ナカサ……?」
「人間に精巧に似せた完全二足歩行自立型兵器『サイレント』。それを壊すのが、私達の任務だった」
立っていられなくなり、膝から崩れ落ちる。
「変な嘘、つくなよ……!」
「本当に嘘だと思う? 君は後から革命の映像を見せられたと思うけど、死体が一つも無かったのは偶然?」
「そんなの、たまたまだろ!」
「サイレントには機能停止後に、部品を気化して情報を相手に与えない細工が施されているの。証拠ならまだまだ与えられるけど、まだ信じない?」
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