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家出少女とクリスマス
イルミネーションがきらめく街の一角。
骨にまでしみるような寒さのなか、私はジャージ姿でうずくまっていた。
……寒い。とてつもなく、寒い。
手の感覚がなくなってから、どれくらい経っただろう。夜が明けるまで、あとどれくらいなのだろう。
わずか一分が、まるで一時間のように感じてしまう。
私が家を飛び出したのは、夕方のことだった。
生まれた頃から父親がおらず、母子家庭だった私の家は、常に生活に困窮していた。
そのせいで私は友達とテーマパークに行ったこともないし、放課後友達と買い食いをしたこともなかった。
昼夜働き詰めの母は家にほとんどいないから、授業参観や運動会に来てもらったこともないし、それどころか放課後、周りの子たちが遊んでいるあいだ、私はまっすぐ家に帰って洗濯やら掃除やら買い物やらの家事三昧だった。
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