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「や、もう……!」
凪も、こんな予定ではなかったのに、と反省するものの。
こうして欲望のままに求められると、嬉しさの方が優ってしまった。
我ながら篤人には敵わないと自覚しながら、やがてビクッと細い腰を痙攣させる。
ただ、これでハイ終了ともいかないことが、お尻に押し当てられた欲の象徴の存在に教わることになった。
いつの間に準備したのかわからない避妊具を手に取った篤人が、手際よくそれを装着させると。
凪が欲しがるように耳元で甘く囁いてきた。
「もっと気持ち良く、なりたい?」
「っ、……いじわる」
「凪の言葉で、聞きたい」
「……ちょうだい、早くっ」
耳まで赤く染めて切羽詰まったように言い放つ凪の言葉に、篤人はぞくぞくと奮い立つ感覚を味わった。
そうして潤いに満ちたところへ自ら飲み込まれにいくと、篤人からも色っぽい吐息が漏れてくる。
初めてではない圧迫感なのに、凪はいつも以上の幸福感と熱を感じて余裕がなく。
今日が特別な日であることをわかった上で、らしくない言葉を呟き篤人を煽った。
「……はぁ、篤人の、あったかい……」
「っえ」
「好き……気持ちいぃ」
そうして振り向いた凪の表情が、今までにないほど蕩けていて。
瞳を潤ませ小さく震えながらも、存分に良さを感じているのが窺えた。
それを目にした途端、凪の体内で篤人の欲が更にドクンと膨張する。
滅多にない恋人の甘い言動に感情を大きく揺さぶられ、もう今からは優しく扱ってやれないと悟った。
「可愛すぎるだろ……」
凪の体を後ろからきつく抱きしめて、篤人は嬉しさと感動を噛み締める。
一度は気持ちが離れかけたかもしれない状況から、こうして温もりを分かち合えるまでになれた。
凪が自分と同じ想いでいるんだと確信できた篤人は、今後また一つ。
ある計画を進める決心をした。
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