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ただ、声を漏らすわけにはいかないと、唇だけは固く閉ざしていた。
しかし凪を抱きしめようとした篤人の指先が脇腹に触れた途端。
「んぁッ――」
それは確実にベッドの上でしか聞いたことのない声で。
思わず火がついてしまった篤人の行動は、予定を外れてしまい本能的な方へと加速してしまった。
「……ごめん」
「なに、待っ……」
「凪が欲しい、今すぐ……」
「ちょ、少しだけっ、て言ったのに……!」
凪の首筋から肩にかけて、篤人は何度も口付けを繰り返しわざとリップ音を鳴らす。
優しく胸の膨らみを包み込んだと思ったら、その先端を執拗に弄び思わず吐息を漏らした凪。
その刺激に耐えきれなくて体を捩るたびに、風呂の水面が軽く波を立てる。
「はぁ……やっ……」
背後の篤人が、一体どんな顔してこんなことをしているのかはわからなかったけれど、
断固拒否する選択だってあったのに、されるがまま凪の艶めかしい声だけが浴室に響いた。
その理由は恋人と初めての入浴する新鮮な状況に加え、どん底の気分から幸せな気分へと満たされる今の状況が重なったせいで。
凪自身も体内に溜まっていく熱を感じ、抑制できなくなっていたから。
そして、それを解消してくれるのがただ一人ということも知っている。
「――っ、どうすんの、よ……」
「俺ももう、我慢できなくて」
「……のぼせ、ちゃう……」
「凪、立てる? 壁に手、ついて」
もう歯止めのきかない篤人は気遣いながらも行為は続けられる。
凪が湯船から立ち上がるとのぼせは解消されたのだが、股下にするりと大きな手が伸びてきて。
その指の先端で敏感な箇所を繰り返し撫でられると、電流が走るような刺激が注がれた。
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