08. 特別な日だから

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  * * *  クイーンサイズのベッドの中で、ふと目を覚ました凪。  大きなベットでの睡眠は初体験だったけれど、寝心地が良くて心も体も幸福感に満たされているのがわかる。  ただ、その要因はベッドだけでなく――。 「ん……」  凪に腕枕をしたまま隣で眠る篤人が、何も纏わないその体をずっと愛おしそうに包み込んでいたから。  昨日、お風呂では想定外のことが起きてしまって。  その後少し反省していた篤人と共に、予約していたレストランで食事をした。  クリスマスイブの夜というのもあり、若いカップルから年配夫婦まで幅広い層の利用客で満席の中。  篤人と凪もごく自然とそれに紛れ、夜景とコース料理を楽しむ。  しかし、特別なシチュエーションに恋人との甘い一時、そしておしゃれなワインが相まって。  互いに程よく酔ったまま部屋に戻ると、やはりそういう雰囲気になるものごく自然なこと。 『凪、抱いていい?』 『……さっきお風呂でしたじゃん』 『でもベッドではまだ、だよ』  物欲しそうに見つめられ、子犬のように抱きつき甘えてくる年上なはずの篤人。  ほろ酔いで気分が良いのはわかるが、勝手に服の中に侵入してきた手のひらがラインを意味深になぞっていくと。  凪の気分も、たちまち持っていかれてしまう。 『っん……』  アルコールの回った体はすぐに熱を帯び、下腹部の疼きが止まらなくなる。  こうなると、篤人の行為をその後も許すしかなくて。 『……一回だけ、だからね?』 『ん〜凪、大好きだよ』    凪のデレる瞬間の破壊力が日に日に増していると感じた篤人は笑顔でそう囁くが、一回では済まないことをわかっていたから約束はせずにさらりとかわした。  そして、軽々と凪を抱き抱えてベッドへと運び、ふかふかの布団にゆっくりと下ろすと。  間髪入れずに跨って深いキスを落としはじめた。  結果、お風呂に続き二度目が開始され、凪の言う「一回」ももちろん守られることなく。  こうして長くて熱いイブの夜を過ごし、愛し合ったまま迎えた朝だった。
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