02. 歓迎会の帰り道

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02. 歓迎会の帰り道

 二十五歳の誕生日は、見知らぬ泥酔男に胸を一揉みされて、遠距離恋愛の彼氏には突然振られて散々だった。  その翌日にまさか、泥酔男の正体が三つ年上の直属の上司になる人物だったとは――。 「思ってもみないじゃん……」  ビールを体内に流し込み、大きなため息をついた凪は今。  会社の飲み会関連でいつもお世話になっている、居酒屋の小宴会場にいた。  部署の社員五十人を簡単に収容できる部屋はお祭りのように騒がしく、その隅っこに座り遠く離れた席の篤人をジトっと眺める。  本日の業務終了後は、本社から異動してきた瀬山篤人の歓迎会が予定されていた。  主役である篤人は挨拶を済ませた後、すぐに女性社員たちに囲まれて談笑しながら酒を交わす。  まるでキャバクラと化した篤人の周辺。  瞳を輝かせて、なんとかエリート上司に気に入られようとするみんなの思惑も読める。  それが単純に、凪には面白くなかった。  顔もスタイルも良く、おまけに仕事も出来る素敵な男性が突然部署に舞い降りた状況。  しかし、その姿にみんなが騙されていることに、苛立ちも募る。  泥酔した真の篤人の姿を、みんなは知らないから。 (その男、泥酔中に私の胸揉んで元カノの名前呟いた最低なヤツですよー)  大声でそう教えてあげたいが、そんな事実は自分しか知らないから意味がない。  そうして再びビールを飲む凪のもとに、美里が微笑みながら隣に座った。
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