07. 約束

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「正直怖かった。凪は素敵な女性(ひと)だから、すぐに男が寄ってくるだろうし……」 「そ、そんなこと……」 「誤解を招いた俺なんてすぐ捨てられてもおかしくなかったんだ」 「……そう思うなら、置いてかないでよ……」  他の男が寄ってこられないように、一生私のそばを離れなければいい。  そんな寂しい思いを滲ませて吐いたセリフは、篤人の独占欲を加速させて再び凪の体を強く抱きしめる。 「もう二度と凪のそばを離れない。約束する……」 「何それ、プロポーズでもあるまいし」 「あれ? そのつもりだったんだけど」 「……は?」  私たち、まだ交際三ヶ月なんですけど?  そう言いたげな凪の顔を確認したところで、篤人が含み笑いをして突然その手を繋ぐと。  二人が住む自宅アパートとは逆方向に歩きはじめた。 「じゃあ行こっか」 「え、篤人? 行くってどこに?」  少しの間音信不通となった凪を見つけて、抱きしめてキスをした篤人はついに心に余裕を取り戻し。  戸惑う凪の手を引いたまま、幹線道路までやってきて片手を挙げた。  するとタイミングよくタクシーがやってきて、二人の目の前に停車する。  後部座席のドアが開かれ、乗車するしかない空気。  そこでようやく、篤人が凪に微笑みながら話してくれた。 「約束しただろ?」 「え……」 「イブは一緒に過ごすって」  そう、本日はクリスマスイブ。  二人で初めて迎える、約束の日はまだ終わってはいない。
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