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柚子は怯えていた。放課後、奈々と「Play room A」で約束しているのだ。だが今はPlayが怖い。川上さんに脅されるうちにPlayが怖くてしまった。
そんなことを考えていても時間はどんどん過ぎてゆく。
「柚子、行こうか」
奈々は柚子の手を引き部屋へ入る。Play room Aは白く綺麗な部屋だ。木製のタンスやベッド、椅子と机もある。一番ノーマルな部屋だ。
「"Play"スタート!」
そう言い奈々はPlayを始めてしまう。柚子は内心おびえているが表には出さない。
「ほら、"おいで"」
奈々に声をかけられ柚子は歩く。足が今にも震えそうになる。
「"偉い"!」
奈々は頭を撫でる。褒められて嬉しい。なのに、怖い。柚子は思わずしゃがみ込む。体の震えが止まらなくなっている。
「柚子、大丈夫?」
奈々が声をかける。
「大、丈夫。続けて、ください?」
「どう見ても大丈夫じゃないでしょ」
柚子が継続を求めても了承されない。
「ねえ、どうしたの?何があったの?"言って"」
奈々が強く命令する。柚子はしばらく黙っていたが、強い命令に耐えきれず事の一部始終を話した。川上さんに練習台にされたことや、Playが怖いことを話した。
奈々はただ静かに聞いていた。だが柚子が全てを話し終わると無言で抱きしめた。
「怖かったよね」
泣きながら話す。奈々の体温に安心したせいか柚子も涙を流す。
「怖かったです、怖かったですよ」
普段は大人な柚子が今は子供のように泣きじゃくっている。奈々はひたすら抱きしめ、背中をさすっていた。
「ごめんね、私がはやくcolorを探さなかったせいで」
柚子が落ち着いてから奈々が謝る。
「いいですよ。私もなかなか時間を作れなかったですし。でも怖いので明日一緒に買いに行きましょう?」
いつもの大人ような色気のある笑みを浮かべている。
「デートのお誘い?」
「ええ」
二人は仲良く手を繋いで部屋を出ていった。奈々が柚子の手を握る力が強いことに柚子は気づかないふりをした。
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