狂依存

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 杏とパートナーになってから一週間ほどたった。  私たちは三日に一回のペースでPlayを行った。本当は月に一回程度で十分らしいがそれでは満足できなかった。といっても一回一回の時間は短い。  前は私が杏の腕を切ってその傷跡を舐めた。お揃いの傷跡は杏の髪の次に好きなところになった。  そう、思い返しながら傷跡を撫でていると突然奈々さんに怒鳴られた。 「ねえ、川上さんが私のパートナーを脅して練習台にしたの、知ってる?」 「そうなの」  それで一ヶ月後にPlayをした時上手になっていたのか。私は一人納得した。 「どうしてくれるの、佳子。柚子はトラウマになってるのよ!」  わめく奈々さん。正直言って鬱陶しい。 「私はそんなのどうでもいいよ。それと私とは必要最低限の会話以外しないで。佳子と呼ぶのもやめて。杏が怒るから」  キッパリと告げてその場をさる。私には杏がいれば、それだけでいいのだ。 「人として狂ってるよ!」  そうだった。彼女は誰よりもダイナミクスを嫌っていた。彼女の母親もDomでよく 「頭がおかしい」 と嘆いていた。そういう人だった。 「さようなら、鈴木奈々さん」  同時刻、杏もまた教室で孤立していた。 「彼女、パートナーを殴ったり切りつけたりするらしいよ」 「リスカしたところを舐めさせたんだって」  佳子の傷跡から噂になったようだ。教室の中にいる人全員が彼女を冷ややかな視線でみる。担任でさえ必要以上に彼女と関わろうとしない。  だが彼女もたいして気にしていない。 「やっぱり佳子は可愛いな」  スマホの画面に映るのはボロボロになった佳子。甘やかしながら何度も鞭で叩いた後の写真だ。  後ろから画面をのぞいた者がうめき声をあげて離れるほど酷い状態だ。だがこの写真を撮るときは佳子も前のように過呼吸になったりしていない。柚子を利用して力を制御できるようになったからだ。 「柚子さんには悪いけど、この画像だけで元は取れるな」  杏は一人教室で笑っていた。
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