狂依存

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 四時間目まで授業が終わり、ようやく昼休み。奈々と机をくっつけてお弁当を食べる。  私が食べ始めると奈々が急に話題を振ってきた。 「佳子、四組の川上さんのこと好きでしょ」  驚いた私は思わず飲んでいたお茶を吹き出しかけた。 「ちょっと待ってよ!恋バナ?まず川上さんて誰?」  脳が追いついてない。このクラスに川上という苗字の人はいない。そして私は他クラスに知り合いはいない。 「ロングで色白の子。ほら、朝ノート拾ってた子だよ」  誰かはわかった、だが納得はいかない、どうして彼女に私が惚れてることになるのだろう。怖い。 「だって、ノート拾ってもらったときとっても嬉しそうな顔してた」 「マジ!む、無自覚だった。気をつけないと!」 「気をつけてどうにかなることではないけどね」  奈々にあきれられた気がする。 「あと……ちょっと耳かして」 「なあに?」  わざわざ耳打ちするとは何の話だろう。箸を置き体を寄せる。 「彼女、Domだよ」 「えええええええええ!」 「声が大きいよ」  頭が混乱してきた。川上さんは隣のクラスでDom。だが一つ疑問が。 「なんであんたが知ってるの?」 普通、自分のダイナミクスを他人に言うことはない。少なくともSubの部屋にはいなかった。 「私もDomだからだよ。ついでに言うけど佳子はSubでしょ」 「え、」  どうしてバレたのだろう。誰にも言っていないのに。真逆、川上さんがバラしたとか…… 「パートナー作る時のためにSubの一覧の冊子もらってる」 なら良かった。  確かにSubにもDomの一覧が配られた。それと同じようなものだろう。 「パートナーになってもらったら?」  羽のように軽い言葉。自分がDomだとわかってもいつも通りなのは性格的な問題かもしれない。 「そんな簡単に言わないでよ。こっちは命かかってんだから」 「でも、好きなんでしょう」  彼女の瞳は水のように透き通っている。彼女が楽しむためでない、ただの純粋な意見だ。 「多分、そう」  私はお弁当を食べながら答えた。 「でも私、今まで好きな人とかいたことないし。わかんないけど、多分好き」 「なら、いいじゃん」 「だから、命が 「好きな人に殺されたい」 え?」 私の言葉を遮って告げられた言葉。まさかまだ覚えていたとは。 「二年前のあなたの口癖でしょう。私には理解できないししたくもないけど。『いつか最愛の人に殺されるのが夢だ』って言っていたでしょ?」
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