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「サンタさんに会いたい!」
今年もそう言って、亜美ちゃんは夜遅くまで起きていようとしました。
でも、いくら頑張ったところで、元気いっぱい一日を過ごし、美味しい物をたくさん食べてしまった小学二年生は、そんなに遅くまで起きてはいられません。
十時を過ぎ、ソファでうとうとし始めた亜美ちゃんは、お父さんの崇彦さんに抱えられ、静かにベッドへ運ばれました。
崇彦さんと入れ替わるように子ども部屋へやって来た佳織さんは、亜美ちゃんが寒くないように毛布をかけ直した後、出窓に並べられた靴下を手に取りました。
まず、靴下のはき口を広げ、亜美ちゃんが書いた手紙やカードを取り出しました。
そして、代わりに、クリスマス柄の大きめの靴下には、サンタクロースからのメッセージカードを入れました。
<Merry Xmas! 亜美ちゃん、ことしもよい子だったね。プレゼントは、ママにあずけておくよ。 サンタクロースより>
靴下の中にプレゼントが入らないことも多いので、毎年この方法で亜美ちゃんにプレゼントを渡しています。今年のカードは、お兄さんの優仁くんがパソコンで作りました。
プレゼントは、もちろん淡いピンク色をしたふわふわもこもこのマフラーです。
実は、由梨ちゃんのお母さんにも、前もって同じ物を送ってあります。
お揃いのマフラーをつけて空港で抱き合う二人を思い浮かべると、佳織さんはまたまた泣きそうになりました。
ベッドの中の亜美ちゃんが、小さな咳をしたので、佳織さんはびくっとしました。
ぐずぐずしていて、亜美ちゃんが起きてしまったらたいへんです。
佳織さんは、ポケットの中から小さな包みを取り出すと、それをクッツンの中に押し込みました。ぷっくりふくらんだクッツンは、何だか喜んでいるように見えました。
佳織さんは、後ずさりながら子ども部屋を出ると、リビングの灯りを頼りに静かに廊下を歩いていきました。
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