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六 計画を練ろう
深夜。俺とマコはマコの家に着いた。
「ねえ、いっしょにシャワーしよう。昔、いっしょにお風呂に入ったでしょぅ。あの時みたいに、いっしょに、お風呂、入ろ・・・」
マコは俺に抱きついて、俺が話そうとすることを話していた。
「ああ、洗ってあげるよ、隅々まで・・・」
「うれしいなあ・・・、うふふふ・・・」
思い出した。このうふふは、マコが本音を伝える時の笑いだ・・・。
俺はマコの服を脱がせながら服を脱ぎ、二人で浴室に入って浴槽に湯を溜めた。
湯が溜る間、熱いシャワを浴びながらマコを抱きしめた。
「リヨ。優しくしてね」
「わかった」
「そしたら、胸はこうして、そして、ここは・・・。そう、やさしくね・・・」
「うん・・・優しく洗うよ・・・」
優しくマコを洗った。
「ああ、良い気持ちだよ・・・」
「寒くないか、マコ?
「シャワーが熱いよ。気持ち良くって熱くなってきた。もう溢れきたよ・・・」
マコは浴槽の湯を話していると思ったが違った。
俺は、熱いシャワーをかけながらマコを撫でた。
「ホントだ、熱いね・・・」
マコが俺を撫でた。俺もマコを撫でた。
「ねえ・・・、そっとだよ・・・」
「うん・・・。そっと・・・」
「そう・・・そっと・・・・」
「そっと・・・、熱いね・・・」
「熱いわ、鼓動に合わせて動いてる・・・」
ふうっと溜息が漏れた。マコからも、あぁぁ・・・、と溜息が漏れた。
なんと表現していいかわからない、満足感だ。探し求めていたマコに会えた喜びと満足感。この状態よ、いつまでも続けばいい・・・。
「ああ、気持ち良くって、体を洗えない・・・」
「俺が洗ってあげる。座ってね・・・」
抱きしめているマコをバスチェアに座らせ、髪と背と胸と腹部、臀部を洗った。
「立って・・・」
立たせて向き合い、腹部と尻と脚を洗った。そして・・・。
「ぁぁぁぁ・・・、立ってられないよお・・・」
マコは俺の肩に抱きついた。
「ねえ。今から、あたしはリヨのお嫁さんだよ。いいよね?」
「ああ、いいよ・・・」
俺はマコを支えて浴槽に浸かった。
それから、一時間後。
マコの部屋のベッドで、マコが俺に抱きついた。
「あたし、もう、リヨの奧さんだね」
「約束どおり、これで一安心だ」
「うん。一番の気掛かりが解決した・・・」
俺はマコを抱きしめた。
「ところで、愛人の玲奈に、どうやってマコの父親を死なせた罪を償わせるんだ?
俺は、三田中が新井慎司に収賄の罪を着せようとしているのを暴露したい。
新井慎司が嵌められた証拠でもあればいいが・・・」
「愛人の玲奈は新井慎司を交通事故に見せかけて轢き殺そうとした事があった。警察の事情聴取で、
『新井慎司が車の前に飛び出した』
と嘘を言ったわ。新井慎司は交通事故を否定したけど、後援会事務所の誰もが愛人の玲奈の言い分を認め、新井慎司の言い分を無視したわ・・・」
「後援会事務所の全員が、新井慎司を嵌めようとしてるんだな・・・。
今、新井慎司はどこに居るんだ?」
「中野の警察病院。新井慎司は都内で轢かれたの・・・」
警察は、三田中が新井慎司に収賄の罪をなすりつけ、自殺に見せかけて新井慎司を消そうとしたと見て、新井慎司を保護したのだろう・・・。
「それなら、愛人の玲奈に手土産を持たせて、中野の警察病院へ行かせるか・・・」
手土産を何にするか?凶器か?毒入りケーキか?
俺がそう思っていると、
「そうと決まったら・・・、ねえ、リヨ・・・」
マコが俺に抱きついた。
俺はマコを抱きしめた。こうして二人だけで過すのは何年ぶりだろう・・・。
俺の携帯が着信を知らせた。お袋からだった。
俺は直ちに、
『マコといっしょに居るから今夜はマコの家に泊まる』
とメールした。すぐさま、
『あのマコちゃんなら今度は家にも泊まってもらいなさい、大歓迎すると伝えてね』
と返信が来た。お袋はマコの事をよく知っている。
俺はメールをマコに見せた。するとマコは、
「宜しくお願いしますと伝えてね・・・」
と言って激しく俺に抱きついた。マコはお袋の意を理解していた。俺は、
『あのマコちゃんだ。宜しくお願いしますと言ってる』
とメールした。直ちに、お袋から、
『待った甲斐があったね!お休み』
とメールが来た。俺はメールをマコに見せた。マコは笑顔で俺を見つめた。目に涙が浮んでいる。
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