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「ふーん、やっぱりな」と、男の人はまたモタのリュックを見ました。それからどこか優しく、ゆっくりとした口調で言いました。
「君の所の品をひとつ譲ってくれれば、いいことを教えてあげよう」
モタは少し迷いましたが、リュックの中から魔法のグローブを出して男の人に渡しました。男の人はそれをサッと自分のズボンのポケットに突っ込むと、モタに顔を近づけました。
「前にばあさんが言ってたのを聞いたんだが、店の骨董品を作ってるのはその弟らしいぞ」
「そうなの?」
「なんで君に教えなかったんだろうな。まあそんなことはどうでもいいか。じゃ、俺はそろそろ店を閉めるから君は行きな」
男の人はモタの背中を押して外に追いやると、先の曲がった長い棒をシャッターの端っこに引っかけました。ガラガラとシャッターを閉める男の人は最後にモタの顔を見て「ま、君はここをでた方がいいな、うん」と言いました。
本当の目的だった肉屋は、先ほどの店の2軒先にありました。やはりこちらもシャッターを開けています。ショーケースが外側に向けて置かれ、サンドイッチがいくつか置かれてました。ショーケースの上に見える顔は、モタもよく知っている肉屋の旦那さんです。馴染みの人に会えて嬉しくなったモタは肉屋に駆けよりました。
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